紹介しているのは、決して治療がやさしいケースばかりではありません。
治療が難しいケースは、どのような問題点があるのか、どのような治療をしたことで、患者さんの満足が得られる治療結果になったのかを説明しました。
最初に紹介するのは、「前歯が出ているので引っ込めたい」と来院した三一歳の女性のケースです。
唇に力を入れないと口が閉じられず、口元が前に飛び出してしまっています。
治療としては、上の前歯がかなり前方に出ていたので、両脇の歯を1本ずつ抜歯し、そのスペースを利用して前歯をうしろにさげる治療を行いました。
また、下の前歯から脇の歯にかけてかなりデコボコのため、下の両脇の歯も1本ずつ抜歯。
さらに、上下左右の親不知の並ぶ場所が全くなく、前方に倒れて完全に埋まっていたために、親不知は4本とも抜歯。
合計8本の抜歯になりました。
大人の矯正ではときどき見られるのですが、このケースは歯の動きが極端に悪く、治療期間が通常より長い3年6か月もかかっています。
特に、犬歯をうしろにさげるのに、2年近くもかかりました。
このように、歯の動きが悪いケースでは、歯に加える力をより慎重に、ていねいにコントロールしていかなくてはなりません。
そういう意味では、難しい矯正治療のケースといえるでしょう。
成長期(10代)の治療であれば、ここまで歯の動きが悪いことは、通常まずありません。
この女性がもし3歳前後で矯正していれば、もう少し短期間(2年数か月間)で治療できたでしょう。
そういう意味でも、一般的には大人になってからの矯正治療より、10代の成長期のほうが治療期間は短くて済むことがほとんどです。
けれども、多少時間はかかりますが、大人の矯正治療でも患者側の満足のいく状態までもっていくことはもちろん可能。
この女性も治療後は前歯がいい位置までさがり、歯並びの不揃いも改善して、上下の歯がきちんとかみ合うようになりました。
口も力を入れずに楽に閉じ、突出感がなくなってバランスのとれた口元に変化しました。
この女性は、治療結果にとても満足しています。
また、さらに希望すれば、この女性のように下顎が後退した顔立ちの場合は、オトガイ(下顎の先端部分)の骨の修正手術(オトガイ形成術)をすることもできます。
この女性はそこまで希望しなかったので行われていませんが、元々下の顎が小さく、オトガイが前方に出ていない場合には、骨の修正手術を行って、よりキレイな横顔にすることも可能です。
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